》とした、色つやのよい、張り切った感じの人であってほしい。―――それやこれやを考えると、幸子はどうもこの写真の人では気が進まないので、さしあたり急いで調べようともせず、そのまま一週間ばかり握り潰《つぶ》していたのであった。 が、そのうちに気が付いたことと云うのは、先日「写真在中」とした郵便物が届いた時に、雪子がちらと見て知ってはいなかったであろうか、そうだとすると、黙っていては却《かえ》って隠しごとをしているようで、変に感じはしないであろうか、と云うことであった。幸子としては、雪子の様子に表面何の変ったところも認められないようなものの、この間のことが矢張多少は精神的に創痍《そうい》をとどめてはいないかと考え、そう矢継早やにあとの話を持ち出すことは控えた方がよいと思っていた訳であるが、何処からか写真を送って来ているのに、中姉ちゃんはなぜ淡泊に打ち明けて云ってくれないのかと、此方の折角の心づかいを不自然な細工をしているように取っても困る、そのくらいならいっそ最初に写真を示して、肝腎《かんじん》の当人が何と云うか、反応を見るのも一つの方法であるかも知れない、と、又そう思い直したので、或る日神戸へ買い物に出ようとして、二階の化粧部屋で着換えをしているところへ這入《はい》って来た雪子に、 「雪子ちゃん、又一つ写真が来てるねんで」 と、ふっと云いながら、答は待たずに、 「これやわ」 と、すぐ用箪笥《ようだんす》の小抽出《こひきだし》から出して見せた。 「その裏に書いてあるのん読んで御覧。―――」 雪子は黙って受け取って、写真はちょっと見ただけで、裏を返して読んでいたが、 「誰から送って来やはったん」 「雪子ちゃん陣場さん知ってるやろ、女学校時分に今井云うてはった―――」 「ふん」 「いつやったか、あの人に路《みち》で会うた時、雪子ちゃんの話が出たよってに頼んだことがあってんわ。そしたら、気にかけててくれはったと見えて、それ送って来やはってん」 「………」 「別に今すぐ返事せんならんことないねん。実は今度は、先にすっかり調べてしもてから雪子ちゃんに云おう思うててんけど、何や隠してるみたいになってもけったいなさかい、まあ見せるだけ見せとくわな。―――」 手にある写真を持てあつかって、違い棚《だな》の上に置くと、廊下の欄干のところへ出て行ってぼんやり庭を見おろ